Fly From Here

そして柄にもなく連続更新。

YESのおよそ10年ぶりにして最新のアルバム、『Fly From Here』を購入しました。


バンドの二本柱の内の一本であるバンドのボーカル、Jon Andersonが不在の本アルバム、はっきり言って不安でした。
詳しい経緯は省くけれど、自分にとっては中高大とこのJonこそ僕のヒーローだったりする人なので、彼無しのバンドが果たして……と不安もあったし、それ以上に不満もあった。
それ故に大好きなバンドでありながらも発売日になっても中々踏ん切りがつかず、購入を後回しに後回しになり、購入時も複雑な心境というなんとも煮え切らない状態が続きました。
それでもいつまでもそうしてるわけにもいかず、昨日ようやく視聴したのです。

で、その感想。
Jonの代役としてツアー、レコーディングした新ボーカルのBenoistが動画で見るよりもきちんと成長してたのが嬉しい。
思ったよりも違和感なく聴けて、かつ曲の屋台骨はこれまで通りしっかりしてるので十分かっこいい。
表題作は若干冗長な気がしないでもないけれど、PtⅤのコーラスなんかは「さすがYES」と安心させる。
FFHの70年代の作品の様な大曲構成やバグルスよりもYESらしさを強調したシンフォニックな音作り等は、諸問題で心配していたファンを安心させる為の配慮があるように見える。
『何があってもYesはYesだから安心して欲しい』というメッセージに思えたのは僕だけだろうか。
何にせよ、本作FFHは『プログレッシブ・ロックの雄、YESは未だ此処にあり』を存分に見せつける一枚だったように思う。
既に英国チャートでは結構上位(18位とか15位との噂)に食い込んでいるそうで、待ち続けたファンの期待にそれなりに応えられた一枚だと言えるんじゃないかな。


ただ、やっぱり改めて歌詞を見て、聴くと淋しさを感じないといえば嘘になる。
YESの世界観に欠かせないのが、Jonの幻想的な歌詞。
Benoistがどんなに上達しようともそこだけはそうそう追いつけるものではないし、だからこそYESがYES足り得た部分でもある。
自分は昔から彼の詞が好きで、サードやLadderのリーフレットやYESのBOX版に付いてきた歌詞・和訳の掲載されたブックレットを持ち歩いている位彼の言葉の高揚感溢れる使い方が好きだったので、非常に残念な気持ち。

自分はプログレとかロックとか、そういう音楽的な要素も勿論大事だけれど、それと同じかそれ以上に言葉の持つ力の占める割合が大きいような気がする。
そして、特にYESは自分のそういう好みをこじ開けたバンドなので、ハードルが高すぎたところはあるのかもしれない。


『Fly From Here』は面白いし、かっこいい。
ChrisもHoweも貫禄溢れる演奏をしているし懸念されたBenoistも十分楽曲に適合して、楽曲のもつ雰囲気は紛れもなくYES。
でも、かつて中高とサードのリーフレットを持ち歩いたように本作のリーフレットを持ち歩くような事はしないだろうなぁとも思いました。

非常にレベルの高いプログレッシブロックバンドとしてのYESは復活したけれど、肝心な所がどうしても抜けているように感じられてしまう。
レベルが高い作品だっただけに、複雑な気持ちはまだ続きそう。



ちょうど先日そのJonのソロアルバム『Survival & Other Stories』が発売されたのだけれど、新宿にあるディスクユニオン プログレ館に行ったら既に売り切れててショック。
そこに行けば絶対あるだろうと踏んでいたので、他で通販なども頼んでいなかったので困ってる。
今から注文したら大抵2週間はかかるそうなので、今から注文するか、近々入荷するとDUの店員さんの言葉を信じて通うか……



そんな今日この頃でした。
Jon厨乙。