TIPS

TIPSというのは、ざっくり言えばパソコンの豆知識を集めたようなもの。
最近ではパソコンに限らず色んな小技を集めた総称みたいな使い方もするらしいけれど。

そんな中、今日Twitterで目に止まった一言がこちら。


http://twitter.com/#!/Takashi_Shiina/status/38873744864714752
椎名高志 2011-02-19 17:13:17
成長しない人って、Tipsを知りたがるんですよ。コツがわかればそれだけで何かになれると思ってる。成長する人は自分を変えないとどうにもならないと気づいてて、数年後に今の自分は根こそぎいなくなってるのを知ってる。


なるほどなぁ、と思う。
ちなみにこの発言をした椎名高志さんは【絶対可憐チルドレン】を描いた先生(知ってる人も多いだろうけれど)。
一番有名なのは【ゴーストスイーパー美神】だと思う。
この発言は多くの「成長したいけれど手間を掛けたくない人」に強く響いたんじゃないかなぁ。
少なくとも自分には少なからず響いたのでつらつら描いてみます。


ちょっと心がけや視点を一つかえることで世界が見違えるような経験って誰しもあったはず。
けれど、なにか「掴んだ!」と思ったことって、後から本を読んだら常識的なやり方だったりすることもある。
だからといってその何かを掴む過程が果たして無意味だったかといえば全然そんなことはない。
知っていたからと言ってそれを実際に実行し結果に反映できるかといえばそう簡単ではないし、そう簡単にできることばかりで成されたことなんて大抵薄っぺらだ。


自分は人間の成長ってRPGのキャラのレベルの概念に近い部分があると思ってる(そうじゃない部分も沢山あるけれど)。
一見無駄な処理に見えて、それの一つ一つがきちんと意味があるし、身になっている。
たとえば敵がスライムであっても倒せば1EXPが手に入るようなもの。
それを繰り返していれば、ある程度のところまでは成長する。
でも、やがてレベルが上がればスライムでは満足できなくなる。
もっと強い敵を倒したくなる。
進んでいくうち、一筋縄では行かなくなる。
だから裏技を探す。
攻略法を読む。
攻略法を読めば、なるほど確かにある程度までは進むだろう。
でも、結局そこには限度があってどうしても先に進めなくなる。
小手先じゃ立ち向かえない敵が出てくる。
そこでレベル上げをやろうとする人と、更にその立ち向かえない敵を何とかしてくれる攻略本がどこかにあるんじゃないかとさがす人に分かれる。
たちが悪いのは、前者にしろ後者にしろここまで進んできている手前、全く努力をしていないわけじゃない事。
前者はともかく、単に後者に努力を促しても「自分なりに頑張っているんだ」と反論するだろうと思う。
そりゃ本人もそのことをそれなりの時間考えて取り組んでいるのだからそう思うのも無理は無いのかもしれない。
しかも、最近のネット社会では確かにそれを乗り越えられるような攻略本が落ちてることがある。
普通なら何とかならないような所でも、時々なんとかなる所が出てくる。
だけど、ここまで来ると目的達成のために必要なレベルよりも攻略法を見つけるレベルが高くなっている。
確かに知ることはできるけれど、応用ができないからその一点にしか意味がなくなってきて、ほんの僅かでも目的のものと違ってくれば全く歯が立たなくなる。
また知っていたからと言って実際にそれが使えるかどうかもまた変わってくる。
その水準の技術を使うためのMPが足りてない。
MP足りない普通の人が何度メラゾーマを唱えたって何も起こらない。

ポケモンにはわざマシンとかあるけれど、はかいこうせん覚えさせたからって覚えさせたポケモンがレベル10いくつとかじゃやっぱり大したことない。


勿論、一定以上の能力を獲得するためなら、ある程度の情報収集は必須。
でも効率のよい努力の仕方を探すことと簡単に結果を求めることは別の話。
それに、ある程度の技術はそれなりに努力を持っていれば自然と身につく物だと思うのです。
それこそレベルが上がれば新しいワザを覚えるように。


勿論才能云々もあるだろうと思う。
でも、そういうのって例えば難しい曲弾くためには手の大きさが足りないとか、そういうレベルになってからする話のような気がするのです。
手が小さいのに鍵盤楽器そこまで弾くかというとそうそう居ないかも知れないけれど、じゃあそこまでの事は無駄になるかといえばそうではないはず。
勿論、そのレベルまで一つのことを続けて突き詰めるために失うものも多いけれど、それも踏まえて何を捨てて、何を持っていくのか、その選択が何に置いても大事なこと。


長々と書いたけれど、学問にせよ何にせよ、王道はないとは言え狡い脇道を突き進むのには無理がある。
やっぱり誰しもある程度以上を目指すのならば何度も何度も面倒くさい努力は避けられない。
けど、そこまで出来る人もそうそういないわけで、じゃぁ何が言いたいかといえば結局好きなモノこそ上手なれなんだと思う。

TIPSはたしかに便利だけれど、それによって実力以上の結果をもたらす事に慣れてしまうと、自分の実力と向き合うのが嫌になる。

あの発言にこれだけ反応しているのは、多分自分自身がTIPSに頼ってきた自覚の裏返し。
だからこそ、胸に刻んで地道にレベル上げ頑張っていかないとなぁと思うのです。